はじめに
「貸したい物件の写真を撮ってみたけど、なんだかイマイチ…」
「もっと素敵に見せて、たくさんの人に魅力を伝えたい!」
そう思ったことはありませんか?
スマートフォンのカメラはどんどん進化していて、誰でも手軽にキレイな写真が撮れるようになりました。でも、ちょっとしたコツを知っているだけで、その仕上がりは驚くほど変わるんです!
この記事を読めば、特別なカメラや難しい知識がなくても大丈夫。お手持ちのスマホを使って撮影するコツを掴むと、物件やお部屋の魅力を最大限に引き出す写真を撮れるようになります。
- お部屋が広く、明るく見える撮り方
- 清潔感やおしゃれな雰囲気を出す工夫
- 建物の外観をまっすぐキレイに撮るヒント
- スマホカメラの便利な設定や使い方
賃貸や売買物件のポータルサイト用、民泊サイト用、SNS投稿用、あるいは単にお部屋の記録用でも、マンションや戸建て住宅などの物件撮影に役立つポイントを詰め込みました。さっそく見ていきましょう!
目次
1. 撮る前に考えたい3つのこと【準備と思考編】
きれいな写真を撮るためには、シャッターを押す前の「考える時間」が意外と大切です。
- 写真を通して、一番伝えたい魅力は何?(目的を意識する)
そのお部屋や建物の自慢は? 広さ、明るさ、デザイン、立地? 伝えたいポイントを絞ると、撮り方が決まってきます。 - 見る人の気持ちになってみる(客観的な視点)
写真を見る人は何を知りたい? 収納、設備、日当たり、建物の全体像? 見る人の疑問に答える写真を意識しましょう。 - 「正直さ」と「魅力を伝える表現」のバランス:
物件写真は正直さが大切です。事実と異なる過度な加工(例:柱を消す)や誤解を招く表現は避けましょう。一方で、物件の魅力を最大限引き出す撮影技術(構図、明るさ調整、広角レンズの適切な使用など)は積極的に活用すべきです。「魅力的に伝える技術」と「嘘」は違います。誠実な情報提供を心がけましょう。
2. 撮影前のひと手間が仕上がりを左右する【現場準備編】
少しの準備が、写真のクオリティを大きく左右します。
- 光を味方につける計画を立てよう!
窓の向きを確認し、自然光が最もきれいに差し込む時間帯を予測しましょう(地図アプリが便利!)。 - 天気予報もチェック!でも諦めないで:
理想は晴れや明るい曇りですが、室内撮影のみの場合は曇りや雨の日でも大丈夫! 光が柔らかくなり撮影しやすいこともあります。その日の光に合わせて工夫しましょう。 - 片付けと掃除は基本中の基本!
清潔感が第一印象を決めます。物を片付け、ホコリを払い、特に水回りや窓をきれいにしましょう。 - スマホの準備も万全に!
レンズの汚れは必ず拭き取りましょう! バッテリーとストレージ容量も確認。 - 撮影してみよう!最初にやっておくこと
iphoneなどについている超広角レンズはとても広い範囲が写るので、画面に指が入りやすいです。まずは指が入らないように持ち方を練習しておくことをお勧めします。
3. 【基本テクニック】スマホで魅力を引き出す撮り方7選
いよいよ撮影! 簡単なコツで写真が見違えます。
① 明るさが命!自然光を最大限に活かす&明るさ調整のコツ
自然光は最高の照明です。カーテンやブラインドは基本的に全開にして光を取り込みましょう。
- 応用:光が強すぎるときは?
直射日光が強すぎて影が濃い場合、あえてレースカーテンやブラインドを閉め(または調整し)、光を和らげる「ディフューザー」として使うのもプロの技です。柔らかく均一な光になります。 - 曇りや雨の日の工夫:
暗く感じる場合は、部屋の電気を補助的に使います。ただし、「外からの光が主役」に見えるよう、全ての照明を最大にするのではなく、明るさのバランスを取るのがコツです。外からの光と馴染むように、電球やLEDの光の色味にも注意します。 - スマホでの明るさ調整(露出補正):
画面をタップすると、ピント枠の横に太陽マーク(☀️)などとスライダーが出ることが多いです。これを上下に動かして、見た目に近い自然な明るさに微調整しましょう。撮影時にできる便利な機能です。白いものを撮影する場合や逆光の場合はプラスに補正、黒っぽい床や家具が多く窓も小さいような場合はマイナスに補正します。特に住宅の室内を撮影する際は壁紙は白の場合がほとんどですし、明るい窓などが入る場合が大半なので、明るく補正することが多いです。
② ゴールデンタイムを狙う(時間帯と光)
室内は午前中~午後2時くらいが明るく撮りやすい時間帯。曇りや雨の日も、光が柔らかく均一になるので、実は撮影しやすいことがあります。外観はその建物の向きに合わせて、正面に光が当たる時間を選びましょう。
③ 広く見せる!構図の魔法(アングルと高さ)
部屋を撮る際、カメラの位置は撮りたい方向の対角線ギリギリまで下がると最大限広く見せることができます。
またカメラの高さは、写真の印象を大きく左右する重要な要素です。むやみに立って目線の高さで撮るのではなく、床から1m~1.2m程度の高さで撮影することを強くおすすめします。その理由は以下の通りです。
理由③:不自然な歪みを防ぎやすい 立ったままの目線の高さから、部屋全体を写そうとして無意識にカメラを下に向けると、床面が手前に向かって極端に広がり、奥がすぼまったような不自然なパース(遠近感)の写真になりがちです。1m~1.2mの高さで、できるだけカメラを水平に保つことを意識すれば、このような不自然な歪みを抑えつつ、安定感のある構図で撮影しやすくなります。スマホの広角機能も活用しましょう。ただし、広角レンズ特有の歪みには少し注意が必要です(補足ヒント参照)。
理由①:上下のバランスが良い 多くの日本の住宅の天井高は約2.4mです。その**ちょうど中間あたりの高さ(1.2m前後)**でカメラを構えると、床と天井が画面内にバランス良く収まりやすくなります。高すぎる位置(例えば立ったままの目線 約1.5m〜)から撮ると、特に広角で部屋全体を入れようとすると天井が多く写り込んで圧迫感が出たり、逆に低すぎると床ばかりが強調されたりしがちですが、この高さなら自然な視野に近いバランスが得られます。
理由②:家具との調和がとれ、生活がイメージしやすい この高さは、ソファ、テーブル、ベッド、キッチンカウンターといった、部屋にある主要な家具の高さに近いか、少し見下ろすくらいの視点になります。そのため、家具の配置や大きさ、部屋の使い勝手が自然に伝わり、見る人が実際の生活をイメージしやすくなります。
④ まっすぐ撮って安定感を出す(水平・垂直)
傾きはNG! スマホの「グリッド線」(格子線)や「水平」機能(Tips参照)を使って、縦横のラインがまっすぐになるように意識しましょう。
⑤ ブレを防いでクッキリと(固定する意識)
手ブレは画質低下のもと。両手でしっかりスマホを持ち、脇を締めて体を安定させます。息を吐きながら、体の力を抜いてぶれをおさえます。壁にもたれる、セルフタイマーを使うなどの工夫も有効です。
⑥ 細かい部分(ディテール)にも注目
おしゃれな設備、きれいな素材感など、こだわりのポイントに寄って撮ると、物件の質感が伝わります。
⑦ バルコニーや庭、窓からの景色も忘れずに
これらも大切な魅力。窓の外が白飛びしないよう明るさ調整を。
【※生活感への配慮】 人が住んでいる空間の場合、バルコニーの洗濯物などが写り込むと生活感が出すぎることがあります。不動産ポータルサイト向けの外観写真でもバルコニーは見えやすいので、洗濯物のない時間を狙うなど、可能な範囲で写り込みに配慮できるとベターです。
4. 撮った後のひと手間【簡単スマホ編集】
少しの編集で写真の印象がアップします。
- ベストショットを選ぶ:
ピンボケ、手ブレ、不要な写り込みがないか確認。 - 明るさと色味を調整:
スマホ標準機能や無料アプリでOK! 少し明るく、自然な色合いに。 - 傾きと歪みを補正:
まっすぐにするだけでプロっぽく。広角の歪みも自然な範囲で補正。 - 【注意!】編集は「補正」の範囲で。
事実と異なる加工はNGです。「魅力的に伝える技術」と「嘘」は違います。
5. 【応用編】もっと素敵に見せるアイデア
基本ができたら、さらに魅力アップ!
- 小物で演出:
観葉植物やクッションなどで、おしゃれな雰囲気や生活感をプラス。 - 動画で伝える:
空間の繋がりや広さは動画も効果的。スマホで簡単なルームツアーを。
6. 【Tips】iPhoneユーザー向け:便利なカメラ設定で撮影をもっと快適に!
iPhoneをお使いなら、この設定がおすすめです。(※iOSバージョンにより若干異なる場合あり)
- 明るさ調整(露出補正)を使いやすく:
- 「設定」>「カメラ」>「設定を保持」で「露出調整」をオン。
- カメラ画面上部のインジケーターをタップで常に調整可能に。設定も保持されます。
- 傾きを防ぐ「水平」表示を出す:
- 「設定」>「カメラ」で「グリッド」と「水平」をオン(※水平はiOS 17以降など)。
- カメラ画面中央に線が表示され、水平になると黄色(または白)の一本線に。これで傾き知らず!
7. 補足:ちょっと専門的なヒント(知っておくと便利!)
さらにステップアップしたい方向けの豆知識です。
- カメラアプリの「マニュアルモード」って?
一部のカメラアプリには、明るさ(ISO感度/シャッタースピード)や色味(ホワイトバランス)を自分で細かく設定できるモードがあります。オートで上手くいかない時に便利。筆者はライトルームのモバイル版を使っています。 - 「RAW(ロウ)形式」での撮影とは?
編集耐性の高い「生データ」に近い形式。画質劣化を抑えて大きく調整できるが、ファイルが重く編集に一手間必要。こだわり派向け。 - 広角レンズの「歪み」と上手な付き合い方:
スマホの広角レンズは端が歪む特性があります。これは広い範囲を写すため。歪みが気になる場合は、不自然にならない角度を探すか、編集アプリの「歪み補正」機能で調整しましょう。広角は空間の広がりを伝えるのに有効なツールです。 - 「HDR」機能っていつ使う?
明るい外と暗い室内など、明暗差が大きい時に使うと、どちらも程よく見えるように合成してくれます。ただし、時に不自然な色合いになることもあるので、効果を見ながら使い分けましょう。 - 三脚って、やっぱり必要?
プロは画質向上(特に暗所でのブレ防止)や厳密な構図決めに使います。現代のスマホなら、手ぶれ補正機能がついているので、しっかり手で固定すれば十分綺麗に撮れます! でも「もっとクッキリさせたい」「構図を完璧にしたい」なら、スマホ用三脚を試す価値はあります。
【深掘り】建物の「上すぼまり」どうする? 3つのアプローチ
建物の外観を下から見上げて撮ると、上にいくほど細くすぼまって写ることがあります(パース歪み)。これを防ぎ、垂直線をまっすぐ見せるには、主に3つの方法があります。
- 【深掘り】建物の「上すぼまり」どうする? 3つのアプローチ
建物の外観を下から見上げて撮ると、上にいくほど細くすぼまって写ることがあります(パース歪み)。これを防ぎ、垂直線をまっすぐ見せるには、主に3つの方法があります。 - アプローチ1:プロの道具を使う(一眼カメラ+シフトレンズ)
建築写真のプロは「シフトレンズ(アオリレンズ)」という特殊なレンズを使うことがあります。カメラを傾けずにレンズだけを上下にずらせるので、撮影時点で歪みをなくせます。画質劣化も少ないですが、非常に高価で専門的です。 - アプローチ2:撮り方で防ぐ(水平撮影+トリミング)
特殊な道具がなくてもできる方法です。建物から十分に離れて、カメラを完全に水平に構えて撮影します。こうすると原理的に垂直線は歪みません。ただし、写真の上下に不要な地面や空が多く写るので、後で必要な部分だけをトリミング(切り取り)する必要があります。スペースが必要な点と、トリミングで最終的な画素数が減る可能性がある点がデメリットですが、補正による画質劣化がないのがメリットです。 - アプローチ3:撮った後で直す(ソフトウェア補正)
現在最も一般的で手軽な方法です。まずは普通に見上げて撮影し(多少歪んでもOK)、後からスマホの標準写真アプリで補正できます。もう少し本格的に補正したい場合はパソコンソフト(Photoshopの「遠近法ワープ」やLightroomの「Upright」機能など)や高機能なスマホアプリ(Lightroom Mobile, Snapseedなど)で、歪んだ垂直線をまっすぐに補正すると良いでしょう。建物に近づいて撮れ、フレーミングの自由度が高いのがメリット。ただし、補正処理による画像の引き伸ばし等で、原理的にわずかな画質劣化が生じる可能性や、やりすぎると不自然に見えることもあります。 - どれを選ぶ? スマホでの撮影なら、まずはアプローチ3(ソフトウェア補正)を試すのが現実的でしょう。その際も、撮影時にできるだけカメラを水平に近づけて撮っておくと、補正量が少なく済みます。スペースがあればアプローチ2も有効です。
8. まとめ
いかがでしたか?
特別なカメラがなくても、お手持ちのスマートフォンと、ほんの少しの知識・工夫で、物件やお部屋の写真は見違えるほど魅力的に変わります。
一番大切なのは、「その空間の良さを、見る人に正直に、そして最大限に伝えたい!」 という気持ちです。
難しく考えすぎず、まずはこの記事で紹介したヒントを参考に、楽しみながら撮影してみてください。きっと、物件やお部屋の魅力が、もっとたくさんの人に伝わる素敵な写真が撮れるはずです!